有志によって開発されている『OpenRCT2』は、オリジナルの『ローラーコースタータイクーン2』を拡張したオープンソースのソフトウェアです。
遊ぶには『ローラーコースタータイクーン2』のゲームデータが必要ですので、SteamやGOG.com等でお買い求めください。
(最近のアップデートを見るとOpenTTDみたいにしよう感は出始めているっぽいですが)
ここでは『OpenRCT2』で拡張された仕様についてまとめています。
拡張だけでなくバグの修正や、現実的な観点による仕様変更もなされています。
(本当にその観点かは不明ですが、変更された仕様は存在しています)
OpenRCT2はWindows以外にもMacOS、Linux、Androidでも遊ぶことができます。
全てネイティブに動作するので、Wine等のソフトウェアは必要としません。
また試験的にOpenGLを使うこともできるので、PCの構成によってはそれを使用する方が早いかもしれません。
ただ元のゲームはエセビジネスノートPCのザコスペックでも動かせるので、そこまで高いスペックは要求されません。
ちなみにOpenGL等を使うと追加された「夜の描写」ができるようになるようです。
インターネットのマルチプレイ対応がされたため、合同で遊園地開発も可能になりました。
もちろん一人で遊ぶこともできますが、広大すぎる土地をそれぞれが開発するのもまた一つの魅力と言えます。
(ただどうやって作っているのかはよくわかりません……何かマナー的なものはあると思いますが)
一応、『ローラーコースタータイクーン2』までは日本語版が存在していました。
OpenRCT2では日本語だけでなく、あらゆる言語にも対応しています。
ただしOpenRCT2自体は海外のプロジェクトなので一部の日本語翻訳に少し不安があります。
英語版から翻訳している関係で、一部の表現や意味合いもそっちに近いものとなっています。
(「ハマり度」などのように、日本語版の翻訳も元からおかしいところはありますけどね)
もちろん翻訳データは自分でも修正できるので、より快適に遊ぶことができます。
更にOpenRCT2では、独自のライドやゲーム内機能をプラグインという形で追加することも可能となりました。
プログラミング等の知識は必要となりますが、基本的には何でもありとなっているようです。
一部のプラグインはOpenRCT2内に内蔵されて実装されているようです。
特にライド関係は積極的で、それ以外にもプレイの助けになる役立ちプラグインも内蔵されることが多いです。
(指定したサイズのマップ表示や新しい音楽など……)
突然の停電やソフトのクラッシュにも対応できるよう、OpenRCT2にはデータを自動で保存できる機能が搭載されています。
もちろんオフにすることもできますし、データの保存間隔や保存数の指定も可能です。
また、スクリーンショットの種類に「画面に映っているスクリーンショット」だけでなく「パーク全体のスクリーンショット」も追加されました。
1画面では撮影しきれないスクリーンショットも一発で撮影できます。
OpenRCT2には『シムシティ』等にあるゲームスピードの早送り機能が搭載されました。
これによりコースター設計のテストやパークの入場者数などの時間を短縮することができます。
また、シナリオの目標を達成した瞬間にクリアさせる機能も追加されています。
これによりそのシナリオのタイムアタックという新しい遊び方ができるようになっています。
(もちろんオフにして従来通り最後まで緊張感のある遊び方もできます)
それまで外部ツールによってチートをすることができましたが、OpenRCT2ではチート機能が内蔵されています。
強制的にシナリオをクリアしたり、パークのベンチなどを即座に修理したりと、やりたい放題。
(もちろんチートのオフ設定もあるので、意図しないチート使用の事故も防止できます)
また、ライドの種類を変更してありえないライドを作ったり、逆に現実に近づけるライド開発も可能となっています。
元の編成が短いライドで長編成させたり、台数を乗り場の限界以上に増やしたりなどもできます。
OpenRCT2のオリジナル要素として、新しいライドが追加されています。
しかも次回作の『3』よりも先に登場するという変な状況にもなっています。
『白鯨』を代表とするハイブリッドコースターは、素材に木製と鋼鉄を組み合わせたライドです。
通常の木製では不可能なアクロバティックなレイアウトが可能となる新しいコースターとなります。
現在のバージョンではRCT3以降から登場した「ゼロGループ」も使用可能となっています。
それこそ『白鯨』みたいなレイアウトも出来るものと思われます。
シングルレールコースターはその名の通りモノレールのような細いレールと車両が特徴です。
このため通常のタイプよりもかなり複雑なレイアウトが組むことができます。
2021年にシックス・フラッグスさんの『WONDER WOMAN Flight of Courage』で採用されたタイプとなります。
こちらもRCT3以降から登場したゼロGループに限らず、「垂直中ループ」や「中コークスクリュー」などの新パーツも使用可能となっています。
ただグラフィックの関係でちょっと慣れが必要になるかもしれないので建設には注意。
(それでも非常に複雑なレイアウトが組めるので作り方によっては強いライドにはなるかも)
v0.4.3以降から「アルパインコースター」という新ライドが追加されています。
スーパースライダーのように車輪の付いたカートがレールの上を走るコースターとなります。
レールに固定されている方式なので車両はジャンプしないようになっています。
レールの種類もらせんの下りのみが使用できるという特殊な仕様となっています。
上りは基本的にチェーンリフトに切り替えられるので、逆流による衝突はほぼ起きません。
(チートを使うとチェーンリフトがない上昇レールが選べるようになるようです)
ただし客によってブレーキの仕方がめちゃくちゃ異なるため、乗り場でのブレーキによる事故は起きるかもしれません。
もしかするとボブスレーコースターの代わりに配置するとそれなりに良くなるかもしれません。
一部のライドには『ローラーコースタータイクーン2』で消滅したレールパーツが存在しています。
OpenRCT2ではそうしたレールパーツが復活しています。
また「ジュニアローラーコースター」や「ミニローラーコースター」では、一応の種類分けがなされているようです。
(『1』と『2』でそれらがごちゃごちゃになっているので、OpenRCT2では細分化して統合・分割されているようです)
更に『1』のデータを読み込ませるとループコースターの車両に『1』のローラーコースター車両も使用できるようになっています。
このため『1』用のデータを指定するという新設定が追加されているので、オブジェクトの選択には少し注意が必要です。
OpenRCT2では「逆向き車両」の選択がチェックマークを入れる方式に変更されました。
基本的な仕様はほとんど同じなので、逆に分かりにくいかもしれません。
一応プラグインを使うとすべて逆向きにしたり、ありえない車両で運転することも可能です。
OpenRCT2では一部のライドで新しいパーツが追加されています。
特に『3』以降に登場したゼロGロールや、45度上り下りのカーブなども追加されています。
(ハイブリッドコースターやシングルレールコースターで顕著だったりします)
またギガコースターで上りで加速するランチ・リフト・ヒルのパーツが追加されています。
ただチェーンリフトの方が良い場合もあるので、このあたりは使い分けが必要かもしれません。
それ以外にも、各コースターで垂直配置や巨大な急坂などのパーツが導入されています。
また新バージョンでは斜め方向でのブレーキパーツが使えるようになっています。
(使えないものは一般的でなかったり、そもそもそういうのがそぐわないものばかりでしょう)
今後はブレーキ以外のパーツや、そもそも斜め対応していないものが対応するかもしれません。
(特にゴーカートは斜め方向に対応すると表現できるコースがますます増えるかも)
OpenRCT2では移動用ライドの線路に限り、歩道との踏切が配置できるようになりました。
今のところ直線レールのみ対応しており、カーブなどのレールには対応していません。
踏切に車両が進入する際、お客は踏切前で止まって車両を待つようになります。
スタッフについては踏切があろうとも停止しないようになっています。
(以前は停止する仕様だったが、ライド故障時に修理へ行けない現象が発生したため変更された)
なおお客もスタッフも車両に巻き込まれても死なない仕様となっています。
歩道の配置パターンによっては簡易的な路面電車のようなこともできます。
ゲーム的には長い踏切として扱われるため、お客が動かなくなることが頻発するようになります。
(最近のバージョンでは駅近くの踏切は行きにくくなったようです)
OpenRCT2ではスタッフを雇った瞬間に自動でパーク内に配置されます。
とりあえず大量にスタッフを雇いたい時にとても便利となります。
ただ清掃員やエンターテイナー等のように「エリアを限定する動き」には不向きなので、従来どおりのオプションもあります。
(雇った後にもう一度再配置すれば済む話でもありますが)
原作では「のりば同士の出発タイミングをあわせる」の設定範囲は左右1マスのみでした。
OpenRCT2ではその設定範囲が5マス程度拡張されており、5台並列同時発車も可能となりました。
(最大数は存在しているため、無限に並列できるわけではない)
通常のプレイでもそうですが、3つ以上になると出入口やのりばで工夫が必要となります。
ただOpenRCT2では乗り場の高さが1つずれていても同時出発できるようにはなっているようです。
配置によっては意図しない同時発車も起こり得るので、ライド配置には注意が必要です。
特に本来同時発車しなくても良いのに待ち合わせる事態が起こることもあります。
一応、乗り場の長さや高低差をそれぞれで違ったりするなどの方法で解消できるようです。
これらを工夫すると数百年単位で1周運転するライドも設計できるんだとか……?
また、OpenRCT2の機能を最大限に使うことで、本来タイミングを合わせられない位置関係でも合わせられることもできます。
(めちゃくちゃ上級者向けの技ですが)
OpenRCT2の出入口は『テーマパーク』のように直角の出入口が作れるようになっています。
ただしチートの一種であるタイルインスペクターを使わないと作れない仕様です。
運用上はまったく問題ありませんが、直角の出入口用のグラフィックが無いので見た目的に微妙なことになります。
このためOpenRCT2で導入された「出入口のグラフィック無し」を設定して建物を自前で作ってしまう必要があります。
(もしくはプラグイン等で直角対応するようなものを導入する必要があります)
またタイルインスペクターで回転した時に方向が分かりにくいもあるので、使い方には注意。
OpenRCT2で使用できる色は54色に増加したため、よりカラフルなデザインが可能になりました。
特に後述する1ライドの車両台数の上限数増加もあって、この追加色が力を発揮してくれます。
(ノーチートの最大長のりばのゴーカートも58台で4台しか被らないのでほとんど問題ありません)
また、編成の車両ごとに指定できる色も細かく指定できるので、より表現の幅も広がるはずです。
OpenRCT2のファイル形式は、『ローラーコースタータイクーン2』のSV6ファイルではなく、OpenRCT2独自のPARKファイルなどに変更されています。
これによりライド配置数やマップサイズの上限値が超拡張されています。(後述)
このため『OpenRCT2』のファイルから『RCT2』は読み込めないのでご注意ください。
逆に『RCT2』のファイルから『OpenRCT2』の読み込みは可能となります。
このあたりについては、『NoLimits2』などのようにサポートしているファイルもサポートしなくなる可能性もあるので注意が必要です。
以下のような上限値の拡張がされています。
特に乗り場数やライド配置数、マップサイズの超拡張が強烈すぎです。
(実際にプレイするとクソデカのイメージと思えてしまうほどの拡張です)
項目 | RCT2 | OpenRCT2 |
スプライト表示上限 |
10000 (実際は9601まで) |
65535 |
ライドの配置上限 |
255 |
1000 |
ライドの種類上限 |
128 |
2047 |
マップサイズ上限 |
254x254 |
999x999 |
オブジェクトの使用上限 |
128 |
2047 |
小さな景観アイテムの種類上限 |
252 |
2047 |
大きな景観アイテムの種類上限 |
128 |
2047 |
マスのエレメント使用上限 |
130000 (実際は196,096?) |
16777216 |
1ライドの最大乗り場数 |
4 |
255 |
1ライドの最大車両数 |
31 |
255 |
雇えるスタッフ最大人数 |
200 |
無制限 (PCのメモリサイズに依存?) |
また、以下のような拡張もなされています。
新バージョンではOpenRCT2用のUI音と音楽が新しく導入されています。
どちらも現行の音を上書きするものとなっているため、変更したくないならそのままでもかまいません。
一応、カスタム音楽自体は『RCT2』の時点で可能とはなっています。
ただOpenRCT2用のフォーマットの方がよりクリアな音とかで再生できるかもしれません。